旅とカメラとオートバイと

旅の悦楽

僕にとって旅とは悦楽だ。通信機器、移動手段が著しく発達した現代において、もう旅なんて呼び方は大げさなのかもしれない。それでも金泉寺や仁摩で出会ったおじさん達、長岳寺で僕の足元から離れようとしなかった野良猫、桜島フェリーの上で、少女と交わした視線。彼らと共有した時間は僕だけのものだ。もしかしたら誰が一度物語を完結させたのかもしれないその場所で、再び僕らが繰り広げるそれそのものが、僕にとっての「旅の悦楽」なのであります。

瀞ホテルに行ってきました。その6

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#4192

 今思えば、瀞ホテルでハヤシライスを食べ損ねた事が、不幸の始まりだったなぁと思います。

 帰り道、どうしても空腹に耐えきれず、とある村の、目についた喫茶店に立ち寄りました。
よく見ると看板には「ライダーズカフェ」と書かれていたので、オートバイ海苔ならなんか特典でもあるのかなと期待しながら店内へ。
 広い店内にはバーカウンターと大きな木製の切りっぱなしのテーブルが三つほどあって、そのカウンターにはチェックのウエスタンシャツにブーツカットのジーンズ、カラフルなベースボールキャップを被ったおじいさんとたぶんその奥さんであろうおばちゃんが立っていました。多分二人でこのライダーズカフェを営んでいるのでしょう。

 客は僕一人だったので、適当に座ってヘルメットとグローブを置くと、先ほどのおじいさんがが水を運んできました。僕は適当にカレーライスを注文してから「お若いですね~。」と僕が笑いかけました。おじいさんは煙草に火をつけながら、僕の席の前に座り、色々話しかけてくれます。
 
 おじいさんは御年78歳。ハーレーのクラブチームに入っていて、サイドカ-付のハーレーに乗っているのだとか。
「サイドカーもなかなかいいよ、あれで色々なところに行ったなぁ~。」
と遠い目で話すおじいちゃん。
「サイドカーはリアシートと違ってパッセンジャーも楽でいいでしょうね。」
とおばちゃんの方を見ると、カレーライスを運んできたおばちゃんは僕の横に座り、
「この人、一度も隣に乗せてくれたことないのよ。何処にも連れて行ってもらったことないわ~」
とぼやきはじめました。

「あんた、いったい誰乗せてあっちこっちいっとったんや~!!」

と心の中で、とぼけた顔で明後日の方向を向いているおじいさんにツッコミを入れてみたものの聞こえるはずもなく。そこからは、おばちゃんのおじいさんへの愚痴が止まりません。

「大体、ハーレー買う時に私に何の相談もなく買って。いつでもなんでも事後報告。乗せたる乗せたる言われてもう何十年たったかしら。こんなおばちゃんになってしもうたわ。あ~あ、もうこのままどこへも行けずに死ぬんやろうな~。」
無言で煙草を吸い続けるおじいさんと、おじいちゃんへの愚痴を言い続けるおばちゃんに挟まれて僕は、適当に相槌を打ちながら黙々とカレーライスを食べましたが、その時のカレーの味は覚えていません。すぐにカレーライスを平らげ、店を出ようと目論みましたが、おじいさんの「コーヒーサービスしたるわ。」とありがた迷惑な親切を断りきれず、僕はこの後も、おばちゃんの愚痴を延々と聞かされる羽目になりました。

 コーヒーも一気に飲み干し、這う這うの体でお店を出ると外は薄暗くなり始めていて、また雨が降り始めました。僕はオートバイを駐輪場に置いたまま、少し先のバス停の軒下まで歩き、やはり煙草に火をつけました。休憩に入ったはずの喫茶店で、身も心も疲弊してしまいました。こんな時はやっぱり煙草を吸いながら黄昏るのが一番です。
 十分黄昏た後は、短くなった煙草の火を消して「うぉっし。」と一人気合を入れると、再びオートバイに跨り、雨の降る中をゆっくりと帰途につきました。


瀞ホテルに行ってきました。(了)


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瀞ホテルに行ってきました。その4

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#4187

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#4185

#4186

#4188

瀞ホテルを後にして、次に向かったのは瀞ホテルと同じ十津川村にある玉置神社。

玉置神社は先の国道169号線から分岐する細い山道を延々と走った先にあります。標高1076mの玉置山のほぼ山頂に位置する本殿は欅材の入母屋造りで、長年の風雪に耐えたその貫録が訪れた者を圧倒します。

また本殿裏にある樹齢3000年ともいわれる神代杉もまた、力強いまでの太い幹と、天に向かってまっすぐ伸びる感じが美しく、見応えがあります。

とても素晴らしい神社でしたが、駐車場から本殿までは参道を徒歩20分ほどかけて歩かねばならず、ハヤシライスを食べ損ねた僕は、空腹と暑さで疲労困憊でした。

参拝を終えて駐車場に戻るとどうやら雲行きが怪しい。
一雨来そうな空模様でした。



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瀞ホテルに行ってきました。その3

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#4178

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#4181

#4182

#4183

自宅から、わざわざ200kmの行程を経てたどり着いたのがこの瀞ホテルです。
瀞ホテルは、三重、和歌山、奈良の三県にまたがる大渓谷「瀞峡」にあって、その断崖に建てられた瀞ホテルからの眺望は素晴らしいものです。
写真のごとく、食堂からの眺めは「目の前瀞峡どーん!」という感じで、瀞峡の巨岩が迫ってくる感じです。

瀞ホテルは大正時代に建てられた宿泊施設で、築100年以上の老舗旅館でした。
外観は純和風の木造建築で、レトロ感たっぷり。
また断崖絶壁と言う特性を巧みに生かした空間構成で、そこからの瀞峡の眺望は訪れた者をあっと驚かせる事請け合いです。

一度は廃業されたようですが、今は喫茶店として営業再開されています。
そこでの名物はハヤシライス。開店と同時に売り切れ必至と言うほどの美味しさらしいです。

何かの雑誌で瀞ホテルの存在を知った時から「レトロ感あふれる元旅館の食堂から、瀞峡の絶景を眺めながら、美味しいハヤシライス頂く・・・。」という計画を思いついていました。
こんな贅沢な食事があるでしょうか?
これはぜひ叶えてみたい内容だったのですが・・・。

開店は11:30。
僕が到着したのは12:00。
その時点でお店は満員、さらに4組のお客さんが空き待ち。

待っている間に「ハヤシライスは完売しました。」とのアナウンス。

仕方なく、あまり多くないメニューの中から、腹の足しになりそうなスフレを注文。
2つ頼んだのですが、それさえも「1つしか残っていません。」と非情なお断り・・・。

遠路はるばるやってきた身としては、とても残念でなりませんでした。



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瀞ホテルに行ってきました。その2

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#4173

#4174

#4177

#4175

#4176


十津川の瀞ホテルまでは、京都市内の自宅から約5時間くらい。
距離にして約200km。

日の短い冬場なら一泊していく行程だけど、夏場なら早起きすれば日帰りで行ける距離です。
前日は5時起きで出発しようと思っていたのですが、結局起きたのは7時前。いつもの出勤時間と変わらない時間に出発しました。

ルートは奈良県奈良市まで走って、そこから始まる国道169号線を和歌山県の新宮市方面へ向かって南下するだけ。紀伊半島の山岳部を貫く国道169号線は、整備が進んでいて、道幅も広く適度に道の駅もあって走りやすい道です。

この日は夏日でとても暑かったので、逃げるように道の駅に入り、珍しいラベルの缶コーヒーを買って日陰へ避難。
缶コーヒーを飲みながら空を仰いでいると、勇ましい排気音を響かせながら沢山のライダーが、道の駅の前を走り去っていきます。
これは僕も負けてはいられないと再び走り出しますが、背中に当たる日差しが暑くて暑くて・・・。

瀞ホテル付近で細かな支線がいくつか出てきて、地図を見ながらどれが瀞ホテルに行く道なのか悩まされました。というのは僕の持っている地図が古くて、道が変わっていた為でした。
少し前に仕方なく買ったスマホで、仕方なくグーグルマップを立ち上げ、仕方なく「瀞ホテル!」と話しかければ、そこまでのルートを示してくれました。

ツーリングなどではナビやスマホを使わない主義なのですが、いやぁ、今の世の中、ホントに便利になりましたね。



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佐田の沈下橋

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#4164

10年以上ぶりに訪れた、四万十川にかかる佐田の沈下橋。
ここはまぁまぁ名の知れた観光スポットで、他府県ナンバーの車や観光タクシーが次々にやってくる。

ここからやや上流にある深木沈下橋では、真っ黒に日焼けした地元の中高生が集っていて、次から次へと橋の上から飛び込んでいく。

いかにも夏真っ盛りという感じだった。



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2017.7 四万十市