旅とカメラとオートバイと

旅の悦楽

僕にとって旅とは悦楽だ。通信機器、移動手段が著しく発達した現代において、もう旅なんて呼び方は大げさなのかもしれない。それでも金泉寺や仁摩で出会ったおじさん達、長岳寺で僕の足元から離れようとしなかった野良猫、桜島フェリーの上で、少女と交わした視線。彼らと共有した時間は僕だけのものだ。もしかしたら誰が一度物語を完結させたのかもしれないその場所で、再び僕らが繰り広げるそれそのものが、僕にとっての「旅の悦楽」なのであります。

Coleman Winds Light Tent Tarp SetⅡ

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#3803

ファミリーテントは、ソロ用や2人用に比べると当たり前ですがサイズが大きくなります。

どんなのが良いかわからず、あちこちのお店を回ったり、インターネットを参考にして色々検討した結果、僕が買ったのはコレ。

コールマンのWINDS LIGHT TENT TARP SETⅡ(M)
4-5人用のテントにタープがセットになったもの。

何よりもこれを買う決め手になったのが、この商品のコンセプトであるスマートキャンプという事。

ファミリーテントとなると、ツールームとかサイズが300×300と格段に大きくなったり、構造が複雑になったりします。が、これは270×240とさほど大きくならず、それでも大の大人が4人悠々と寝られるだけのスペースは確保できている、素晴らしいテントです。構造もいたってシンプルで、設営自体は難しくありません。
収納サイズも22cm×66cmと小さく、車のトランクにも楽々収まるサイズ。重量7.2kgなので小学5年生の長男でも持ち運べる重さです。そして自宅に持ち帰った後、マンションのベランダで干すのにも、まぁなんとかできるサイズでした。ツールームなんかだと絶対無理ですからね。いちいち乾くまでキャンプ場で待つのも嫌だし、帰宅後、近所の公園に干しに行くのも手間だし。

そしてタープ。僕自身は今までタープを必要としてこなかったのですが、やはり夜露を防いだり急な雨でもテントにこもらなくてもいい利点は見逃せません。アウトドア雑誌なんかでよく見る、タープの下で家族が食卓を囲んでいる情景にも憧れていました。
このタープはテントと連結させて使うこともできますし、タープ単体で使用も可能です。
テントとタープを別々に買うとそれなりに費用も掛かるけれど、このWINDS LIGHT TENT TARP SETは40000円を切る、非常にコストパフォーマンスに優れた商品でした。(ディスコン商品だったので、安くなっていました。)
安いからと言って、けしてものが悪いわけではなく、耐水圧も1500mmとしっかりしており、生地自体もペラペラではありません。収納袋や、ペグにはチープさを感じますが、この値段を考えれば納得の価格ですし、ペグは地面の状況により変えるものなので問題はないかと思いました。

テントはさすがに買いましたが、他はいつも通り、僕が普段使うものばかり。クッカーも、ランタンもバーナーも椅子も机もソロ用のコンパクトなものばかり。(椅子は同じサイズのものを人数分揃えましたが。)

僕自身、必要最低限の物で済ませたいという思いがあります。ツーバーナーや大きなバーベキューコンロ、大きな机に椅子、たくさんのクーラーボックスや収納ボックス。炊飯器やストーブなど、自宅のリビングをそのままキャンプ場に持ってきたというスタイルは好きではありません。

家族が増えても使う机はソロ用の小さなテーブルと、椅子を人数分。物の置き場所に困れば薪を適当に並べて、その上においてもいいし、その辺で大きめの石を拾ってくればいい。正直椅子も机もいらないんですよね。
考え方が古いのかもしれませんが、キャンプは不自由を楽しむものだと思っていますから、ないものは何かで代用すればいいし、違う方法を考えればいいかと思います。工夫して、それがうまくいくと結構楽しいんですよ。子供にも普段の生活がどんなに恵まれたものであるかを知る、いい機会にもなります。
荷物が少なければ撤収も早くなるし、労力も少なくなります。その分違う事に時間を使うこともできます。なによりもキャンプを面倒に感じないので「また行こうか。」という気持ちになるんですよね。

中々家族全員が揃う機会は少ないのですが、日増しに暖かくなっているので、みんなで積極的に外に出かけていきたいと思っています。



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。その1

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#3804

キャンプツーリング歴は結構長いんだけど、厳寒期にキャンプをしたのは初めて。



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
和歌山 2017.2

和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。その2

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#3805


冬はオートバイに乗る機会も減って、他に趣味のない僕は家で過ごすことが多いです。
そんな僕が、この寒い時期にオートバイに乗ってキャンプをするきっかけになったのは、暇つぶしで見ていたyou tubeのウィンターキャンプの動画。その投稿者が焚火をしていらしたんですが、暗闇の中で浮かび上がる焚火と火の粉が綺麗で、投稿者の吐く息は白くて寒そうなのですが、とても幸せそうなんですよね。ビールや焼酎をあおりながら、たき火をいじる姿が羨ましく思えました。今までウィンターキャンプはやったことがなかったし、こんな寒い季節にキャンプなんかして何が楽しいんだと思っていたんですが、それが一転、焚火の魅力に憑りつかれてしまいました
それからは毎日の様に色々なウィンターキャンプの動画を見あさる毎日。マイナス10度とかの山の中で、タープ一枚と寝袋だけで過ごすという強者もいて、だったら装備が充実している自分でもできるんじゃないかなと思いました。

初めてのウィンターキャンプとは言え、普段の装備との違いは寝袋を2つにしたくらい。冬用の寝袋は使用頻度が少ない割に高価なので購入せず、3シーズン用の寝袋を2枚重ねて、あとは厚着して対応することにしました。

当日はよく晴れていたのですが、風が強くて道路の気温計は5度以下でした。山間部では更に気温が下がる一方。結構つらくなって「帰ろうかなぁ~。」なんて弱気になっていました。

#3806

乗り手に反して元気なオートバイ。冬は酸素の体積が小さくなって、吸気時にエアクリーナーから沢山の酸素を取り込まれるので燃焼効率が良いらしいです。アクセルが軽く感じて上まで綺麗に吹け上がります。

僕のオートバイは30年選手。そのうち7年を僕と過ごしています。走行距離はメーターが壊れちゃったからはっきりとわからないけれど、メーター1周、10万キロは超えていて(エンジンの状態から見てメーター2周はしているかもしれないとバイク屋さんは言ってた、つまりそれほど程度が悪かった。)、僕が乗ったのは約5万キロ。
昨年、腰上だけOHをしてからは嘘みたいに調子が良くて、まだまだ走れそうです。

#3808

#3807

#3809

京都から三重方面に向かってオートバイを走らせる事2時間と少々。山間部を超えて、熊野灘に出る頃には日が昇り、風も穏やかになってぽかぽか陽気に。

途端に眠気が襲ってきたので、楯ヶ崎近くの漁村の防波堤で小休止。
寝転がって空を仰ぐと、気持ちいいほどの青い空が目に映りました。



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
2017.2

和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。その3

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#3810

熊野灘を眺めながら海岸線沿いの国道311号線をトレース。
適度なコーナーの数とアップダウンを繰り返す、走っていて飽きないルート。

#3811

この日、今年初めての梅を見ました。
その脇には大きなみかんが沢山なっていました。

#3812

熊野市のイオンで食料の調達を済ませ、そのまま国道311号線~169号線経由で渡瀬温泉を目指します。
この169号線は結構な難所で、路面状況が悪く、道も細くて、普通に走るのも大変だったんですが、道路の改良工事が進んでいて道幅も広くなり、いくつもの山をくりぬいたトンネルが出来上がっており、とても走りやすくなっていました。

#3813

北山川と並走しながら、あっけないほどスムーズに渡瀬温泉に到着。

渡瀬温泉にある緑の広場キャンプ場は、僕のお気に入りのキャンプ場です。
理由は歩いていける距離に西日本最大の露店風呂、渡良瀬温泉があるからです。

ただ近年、オートバイの乗り入れも禁止になってしまって、利用しにくくなってきました。
#3814

受付のクアハウスで薪を購入しキャンプ場に着いたら、暗くならないうちにテントを張って、焚火の準備に取り掛かります。
直火は禁止なので、焚火台を使います。僕の焚火台はソロ用のコンパクトなものなので、薪をくべるのには、薪を小さめに切る必要があります。
鉈で縦に裁断し、のこぎりで短めに切り分けます。後は調子に乗ってyoutubeで見たフェザースティックなんて作ってみたりして。

焚火台は火の粉でテントのフライシートに穴が開かないよう少し距離を開けてセット。
焚火台の上で火をおこし、火が安定するまで、その辺の小枝を放りこんだり小さな薪をくべたりしながら次第に大きな薪を投入していきます。そこまで行けたら後はもう適当でも火が消えてしまう事はありません。
昔は火のおこし方がわからずに、固形燃料をたくさん無駄にしたり、ガソリンをかけてみたりで2時間くらい悪戦苦闘していた事がありますが、今はもうお茶の子さいさいです。(キャンプ動画を見ていると何故か着火剤を使う方は少ないですよね、フェザースティックとか作ったりして。こだわりなんですかね?)

#3817

次は夕食を作ります。楽しい夜を過ごすためにはそれなりの下準備が必要です。
普段は簡易的に使用できるカセットボンベを利用したガスストーブを使うことが多いのですが、気温が低いと火力が弱く使い物になりません。
ガソリンストーブをプレヒートして、着火。気温が低くても安定した火力が維持でき、頼もしい限りです。

焚火でご飯を炊いている間に、ガソリンストーブでおかずを作ります。

#3815

今夜は奮発してステーキ。とはいってもオージービーフの安い肉ですが。
マメにマカロニサラダも作ってみました。

焚火を前に一人ビールで乾杯して、黙々とステーキを口に運びます。
ステーキは安いだけあって脂身の少ない固めの肉でしたが、焚火の前で食べているというスパイスが効いて、まずまず美味しかったです。

ご飯を口に運びながら、薪をくべたり位置をを動かしたりしながら、火がゆらゆら踊る姿を楽しみました。
この時期の焚火は本当に暖かくて、心地よかったです。

#3816

焚火が予想以上に暖かくビールの酔いも手伝って、冷えた体はぽかぽか。なんだか温泉まで歩くのが面倒になってしまい、そのままテントに潜り込みます。
ライダースだけ脱いでそれを枕代わりに丸めます。肌着の背中とお腹、靴下の土踏まずの部分に使い捨てカイロをはって、二重にした寝袋にくるまります。

外はフライシートが凍るほどに寒かったですが、寝袋の中はホカホカ。テントの外では猿が走り回っている様子でしたが、それすら気にならない程、朝まで熟睡でした。



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
2017.2

和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。その4

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#3818

キャンプの朝はいつも早起きなんだけど、この日は8時くらいまでぐっすり。
寝袋2枚と使い捨てカイロ4枚の効果で、ぬくぬくでした。
この後寝袋から出るのにはかなりの勇気が必要でしたが・・・。

#3819

朝は、パン。
昨日に少し残しておいた玉ねぎをきざんでシーチキン、マヨネーズ、塩、胡椒とあえます。

#3820

それをパンの上にのせて出来上がり。
簡単でとても美味しい僕の定番メニューです。

#3821

朝食を済ませたらゆっくり荷物の撤収にかかります。
薪が随分と残ったので、リアシートに括り付けて持ち帰ることに。
この時、すでに大きなテントを買って家族でキャンプをする計画をひそかに立て始めていました。この薪はその時に使ってやろうと思いながら。

リアシートは薪に占領されてしまったんで、乗せられない荷物はリュックに詰めます。

#3822

全ての荷物を撤収する頃には、陽が昇り暖かな日差しが降り注いでいました。

注)
前回の記事で緑の広場キャンプ場はオートバイ乗り入れ禁止になったと記述しましたが、今回、キャンプ場の利用者が僕一人だった為、受け付けのおばちゃんの許可(黙認)を得ることが出来ました。



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
2017.2

和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。その5

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#3823

渡瀬温泉から国道168号線を新宮市方面へ少し走って県道44号線へスイッチ。

#3824

この道は山深い和歌山を存分に堪能できるいわゆる「酷道」と言うやつです。細く路面の荒れた道がひたすら延々と続きます。
車での対向は間違いなくできません。

#3825

途中、鎌塚の集落で廃校を発見。

#3826

休憩がてら、中を覗きます。
子供たちが消えた学校は何とも寂しく、すこし不気味でもあります。(特に手前のポスターとか。)

#3827

44号線に入った理由は「裏那智の滝」と呼ばれる宝竜滝を見る為でしたが、土砂崩れで通行止めになっていました。


OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
2017.2

和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。その6

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#3828

県道44号線は、山深く時々展望が開けます。

#3829

思った以上に道がうねり、走り抜けるのにかなりの時間を要しました。

#3830

古座町の一枚岩に到着したころには疲労困憊。
ここで長めの休憩をとり、再び走り出します。
酷道はもう勘弁と、和歌山の大動脈と呼べる42号線へエスケープ。
42号線は交通量は多いですが道幅も広く走りやすい。

#3831

最後に白浜の千畳敷に立ち寄りましたが、ここはカップルだらけ。
風呂にも入らず、焚火の匂いをプンプンさせた着ぶくれ男には場違いな場所でした。
早々に退散。

#3832

後は高速に乗って自宅に帰るだけ。
夕日に染まる円月島が綺麗でした。

#3833

今回のウィンターキャンプを通して、この時期のキャンプの素晴らしさを再発見しました。
キャンプ場は貸切状態なので自分だけの時間をゆっくり過ごせますし、わずらわしい虫もいません。
空気が澄んで星が綺麗に見えました。
焚火がこんなにも暖かいものだとは知らなかったし、今回は入らなかったけど冷えた体で浸かる温泉なんかはどの時期に入るより最高でしょう。
冬用の寝袋がなくとも工夫をこらせば、暖かい一夜を過ごすことも十分可能な事を知りました。むしろ夏場よりもぐっすり眠ることが出来たくらい快適でした。

なんで今までやらなかったのだろうと今ではちょっと損した気分です。

これからは積極的に行っていきたいなと思っています。


和歌山にウィンターキャンプに行ってきました。(了)


OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mmF2.8 PRO

THE NORTH FACE 「DAY HIKER」

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#3834

カメラを持ってオートバイでのツーリングをする際、最も適したバッグは何か?
人それぞれ答えは違うかもしれませんが、僕の場合はウエストバッグです。

ザックは容量が大きく、色々持って走れますが、機上からの荷物の出し入れが困難で、オートバイを降りなくてはいけません。
また僕のようにカメラを頻回に出し入れする人間には向かないバッグになります。

ショルダーバッグやメッセンジャーバッグは、ザックより簡単に荷物が出し入れできましたが、片方の肩に負担がかかり姿勢も不安定になる為これもダメ。

タンクバッグやシートバッグは自分で荷物を待たなくていい分楽ですが、オートバイを降りての散策に向かない。

で、ウエストバッグ。荷物の出し入れが非常に楽で携行性も良い。だけど容量が少ないものが多く携帯や煙草、財布を入れたうえで、カメラと交換レンズもという訳にはいかず。
実は以前に紹介したトレックフィールドのISDEウエストバッグは唯一、この点を解決してくれたウエストバッグでしたが、デザインが今一つ・・・。(ごめんなさい。かなり頑丈でいいウエストバッグなのですが僕のオートバイには合わない感じです。)

そんな感じで、ずっと色々なバッグを試しては気に入らず売りにだし、また新しいものを購入する事を繰り返してきましたが・・・。

ついに理想のウエストバッグを見つけてしまいました!

THE NORTH FACEの「DAY HIKER」。

ウエストバッグなのに18Lとザック並の容量を誇り、デザインも良し。バッグは3層構造になっていて、メインにはクッションを入れて、カメラと交換レンズを入れます。驚いた事にOM-D40-150ミリの望遠レンズを装着した状態で入れることが出来、12-40ミリのレンズも一緒に携行できます。それでもまだ余裕があるのでバッテリーやフィルターなんかも入れています。
サブポケットには財布や携帯、煙草。
一番手前のポケットは地図。このバッグのいいところは一番手前は荷物を挟むだけの使用になっているので、地図を簡単に出し入れ出来るのです。

収納性も良いのですが、このウエストバッグにはショルダーベルトとレインカバーも付属しているのがさらに良いところ。
ショルダーベルトのおかげで、腰にかかる負担を分散してくれますし、カメラを取り出す際、ウエストベルトのバックルを外してもバッグは脱落する事なく、容易にバッグを前面に回すことが出来ます。(ウエストベルトを付けたまま前面にバッグを回すのって結構手間なんですよね。)
急な雨にもレインカバーがあるので安心という事は言うまでもありません。

デザインも秀逸で、緑は僕の大好きなカラーなので文句なし!

これはもうカメラを持ってツーリングするオートバイ海苔の為に作られたと言っても過言ではないくらいに、僕の理想とするウエストバッグです。

桜追い

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#3835



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

妙祐寺の枝垂桜

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#3839

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#3840

朝、鴨川沿いの桜が少し、ほんの少し咲いているなと思ったら、夕刻には目を疑う程の速さで次々と花を開かせていた。
翌日、僕はオートバイを京都北部へと走らせた。

京都市内の桜はどれも綺麗だが、どこも花見客で溢れかえっている為、落ち着かない。
どこかの野桜を眺めながら、誰にも邪魔をされずに桜の木の下でぼーっとしていたい。

半袖姿の観光客を見かける市内に比べ、北部はまだ寒く、走行中はネックウォーマーは外せなかった。

この時期にいつも立ち寄る桜並木は、まだつぼみの状態。
桜前線は京都市内までだったのか、北部には行き届いておらず、景色は閑散としていた。
桜前線が北上するスピードは赤ん坊のハイハイ並のスピードだとテレビのアナウンサーが言っていたのを思い出す。

期待もしていないのに引き返す気にはなれず、ブラブラオートバイを走らせていると、いつの間に福井県まで来てしまった。
他に行くあてもないので、そのまま日本海までオートバイを走らせて海を見た。

その帰り、小浜市の山中で見かけた桜の幟に誘われ、ハンドルを向けた。

幟が示す方向に従ってひたすら行くと妙祐寺というお寺にたどり着いた。
寺の境内には背中を反る感じで見上げるほどに立派な大きさの枝垂桜が植えられていた。

枝垂桜は3分咲き程で、花見客は他にいない。「見頃は後2.3日後かな。」と思いながら何枚か写真におさめる。と、後ろから「見頃は明後日くらいやなぁ。」という声がした。
他に誰もいないと思っていたのでびっくりして振り返ると、孫を連れたおばちゃんが立っていて、僕と同じように背中をそらせて枝垂桜を見上げていた。

荷物持たず、歩いて来たところを見るとこの辺に住んでいるんだろう。

桜には興味がないのか、少々無愛想な孫に優しく声をかけながら愛おしそうに枝垂桜を見上げるおばぁちゃんを見て、僕は写真を撮るのをやめ、駐輪場まで引き返す。
おばあちゃんの幸せそうな表情を見ていると、僕はこの場にいない方が良いように思えたからだ。

駐輪場に停めたオートバイに跨って、もう一度枝垂桜の方へ目をやると先の二人の姿が見える。二人は桜の周りを何周か歩いて、備え付けられたベンチにすわった。おばぁちゃんは笑顔で孫に話しかけながら、何度も枝垂桜を見上げている。つられてその子も枝垂桜を何度も見上げる。

この桜はもしかしたらおばぁちゃんの大切な桜で、そしていつか、この子の大切な記憶の桜になるのかもしれない。
大げさだと思うかもしれない。だけどありふれた日常の中には、時折、何の前触れもなく、帰りたくても帰れない、戻りたくても戻れない、とても大切なものに変わる瞬間がある事を僕は知っている。

そしてそれは記憶となって僕らの心の中に残るもの。
もし桜にまつわるものなら、その記憶は儚くも幸せだという事も僕は知っている。



OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mmF2.8 PRO