落ち葉で埋め尽くされたふさふさの山道を歩き、道端のお地蔵さんに手を合わせ、時々木々の切れ間から開けるわが町の眺望を俯瞰する。自分で握ったお握りを頬張りながら地図を開いて現在地とルートをを確認する。
予定のコースタイムから少し早いペースで歩いていたものの、最後の下りでは足に踏ん張りがきかずにペースダウン。気を抜いたら急な斜面を転げ落ちていきそうで怖かった。慎重に慎重に下っていると予想以上に時間を食ってしまい、結局日が暮れる寸前での下山となるが、ひとまずほっと胸をなでおろす。
この日は一日、裏山に遊んでもらった。
予定のない休日前になると決まって地図とにらめっこする事が習慣になっている。ハイキングやMTBなど行動範囲が狭い場合でのルート作成には、グーグルマップか国土地理院など詳細に確認できるものがいい。それらを嘗め回すように見ていると、近場でも結構知らなかった道を発見したりする。
この時は、紅葉の名所である滋賀県の比叡山坂本付近から仰木方面に向かって伸びるドライブウェイ終点付近から、比叡山系に並走する林道を発見。その林道は大尾山(標高681m)に向かって緩やかに標高をあげていく。そこをMTBで走り、大尾山に登頂する計画を思いついた。
当日、寝坊してしまい少し遅めの出発。ザックには昼飯と1.5.Lの水分の他、パンク修理キットも入っている為、いつもよりパックウェイトは重め。市街地を抜け、林道始点までは1時間少しで到着。
山岳サイクリング開始。林道は思っていたより勾配がきつく、ペダルを踏みつける太ももへの負担が半端ない。息を切らしながら少しずつ登っていく。汗が止まらない。足が棒のようになって、そのうち漕ぎだす力もなくなる。仕方なしで押し歩く。周囲の茂みでは小動物がごそごそうごめく音、頭上ではキツツキがくちばしで木肌をつついている音がクリアに響く。
MTBのギアを1速に入れたまま尚も漕ぎ続ける事1時間以上。眼下に琵琶湖が広がる。
眺めの良さそうな空き地を見つけ、そこで遅い昼休憩。まだ14時を少し回ったくらいなのに日が当たらなくなってきた。そうなると肌寒さを覚える。自転車を漕いでいるうちは半袖でも暑いくらいなんだけど、止まると汗冷えもあって寒い。お握りを頬張りながらアルストで湯を沸かし、スープを作る。暖かい飲み物が嬉しい季節になってきた。
早く登頂し、日が落ちるまでに下山しなければ。焦る。
ペースを上げて何とか大尾山の取りつきまでたどり着く。が、そこで愕然とする。バリエーションルートから尾根に上がるつもりだったのだけど、もはや廃道状態で踏み後すらはっきりしない。一般的な登山道を上がるには、ここからさらに1時間かけて進まなければならない。その頃には日も落ちている事だろう。
辺りはさっきよりも薄暗い。そういえばこの林道に入ってからは誰とも出会っていない。こんな山奥で、今、僕は一人だという事実に気づく。周りで聞こえる木々の風になびく音や茂みから聞こえる小動物の動く音が、胸の内で言いようのない不安をあおるようになっていた。
大尾山登頂は時間的余裕がないので諦める。寝坊した自分が悪い。
林道を戻るだけでは面白くないので、林道の脇から鬱蒼と茂った人気のない登山道にMTBを乗り入れる。廃道状態。倒木に浮石だらけでMTBを漕ぐ場所なんてほとんどないから、担ぐ。ひたすら担ぐ。これもまた山岳サイクリングだ。(乗って下るだけの技量がないだけともいうが。)
悪戦苦闘しながら林道を30分程下ると、歓喜院という社に着く。そこでユニークな顔をした摩崖仏を発見。無事に下山できた感謝を込めて手を合わせる。林道は舗装路に変わって、後は延々と市街地へと下っていく。ずっと人気のない林道を走っていたから、ざわざわした市街地まで下りてくると、張り詰めていた気が抜けていく。
パンパンに身が張って力の入らない足でゆっくりペダルを漕いでいると、辺りはあっという間に暗くなって、夜空にぽっかり浮かんだ月と並走しながらの帰宅となった。
山岳サイクリング(了)
年末年始は自宅で過ごす時間が多いだろうと思って、何十年ぶりにゲームを買った。買ったのは「桃太郎電鉄。」最近CMで新シリーズが発売されたと知ったので。
ちょっとだけ家族とやってみたが、いろんなイベントやハプニング、貧乏神が追加されていて、なかなか面白い。ただ、地図を見ていると昔行った場所が沢山出てきて、外に出かけてしまいたくなる・・・。
Leica M6×Voigtländer NOKTON classic35mmF1.4 Kodak ProFotoXL100
1週間前にようやくオートバイが修理から帰ってきた。そして待ちわびた休日。次男を乗せて、ぶらっと出かけて帰りにクリスマスプレゼントでも買ってやろうと思っていたんだけど・・・。また故障。
激しく落ち込んでしまって、次男に気を使わせてしまった。
情けないお父さんだ。
RICOH GXR×Voigtländer NOKTON Classic35mmF1.4
RICOH GXR×Ai Nikkor35mmF1.4S
親戚から、父親の遺品で、押し入れから出てきたPENTAXのSPはいらないかと勧められた。
SPに限らず、この時代のカメラはデジタル一眼レフのように沢山のボタンや液晶画面が付いていないので、至ってシンプルな見た目。ただ撮る為だけの道具として作られた愚直なまでのスタイルは、見ているだけでもうっとりする。
カメラに疎い親戚はシャッターの下りないジャンク品だと後で気づいて申し訳なさそうにしていたが、僕は喜んで戴くことにした。
部屋のインテリアとして飾っておこうかと思って。
OLYMPUS OM-1×G.ZUIKO AUTO-W35mmF2.8 Kodak GA
RICOH GXR×P10(28-300mmF3.5-5.6VC)
RICOH GR DIGITALⅡ