瀬戸内の海道を巡ってきました。その7
瀬戸内の海道制覇は達成ならずも、旅はもう少し続く。
この旅最後の夜は、高知県梼原の「太郎川公園キャンプ場」で迎えた。
四国カルストの鶴姫平に素晴らしいキャンプ場があって、本当はそちらにしたかったのだけど、標高1000mオーバーで夜は真夏でも寒い。僕は防寒具を持っていなかったし、温泉にもゆっくり浸かりたかった事もあって、温泉施設が隣接しているこちら側を選択した。
太郎川キャンプ場は施設的にこれと言って特徴のないキャンプ場だったけれど、隣接している「雲の上温泉」は最高だった。
露天風呂に内風呂が5つ、だったかな。施設設備は整っていてとても清潔感があった。
とにかく満天の星を眺めながら露天風呂に浸かることが出来て本当にハッピーだった。
キャンプ場には、僕の他に大学生の男女6名のサイクリスト集団。
カレーを作りながら、大学生活やプライベートな話で盛り上がっていた。
「楽しそうでいいな、若いっていいね。」と思いながら寝袋にくるまり、就寝。
4日目。
5時起床。早々に荷物をまとめ、キャンプ場を後にする。
一路四国カルストへ。
瀬戸内海道の旅も良かったが、正直シーサイドランにも飽きてきた頃だったし、交通量の多い主要国道をつないで走るだけのルートは面白みに欠けた。
海道を走っての感想は、やはり自転車向きのルートであったという事だ。(それを言っちゃぁ、おしまいですね。)
やはり僕は山岳道路や、つづら折れの峠道を流している方が性に合っている。
何度来てもやっぱり四国カルストはいい。
どこまでも続いているような錯覚をおこす平原に点在する石灰岩、360度のパノラマ風景、その向こうには幾重にも重なって見える山稜。
これはココでしか見る事の出来ない景色だ。
牧草をついばむ牛達を眺めていると、いつものにか時間が過ぎていく。
海道制覇という目標の元、ガイドマップに書かれたルートをひたすら走ってきた3日間から解放され、ここからは地図を片手に走りたい道、面白そうな道を探す。
頭の中でルートが決まれば、あとはオートバイのアクセルを開けて、右に左に僕らは峠のやじろべーと化す。
峠道の横を流れる綺麗な渓流を見つけて、オートバイを止める。
暑苦しいブーツをその辺に脱ぎすて、足を水につけると「うー」と無意識に声が出てしまうほどの冷たさ。
0.5車線と言っても過言ではないほどの、細いミミズのような峠道をウネウネイジイジ走る。
どんどん標高をあげ、「おいおい、この先道あるんだろうな。」なんて疑心暗鬼になっていた頃、突然視界をふさいでいた木々が切れ、眼前には開放的な草原が広がった!
「なにこれ、なにこれ!」ヘルメットの中、ウハウハえびす顔で何度も何度も繰り返した独り言。
薄暗い峠道の先に、こんな絶景が広がっているなんて想像すらしていなかったものだから、興奮がおさまらない。
緑の絨毯を貫くように走る舗装路の上を、夢中になってトレースしていく。
OLYMPUS OM-D EM-1/ズイコーデジタル12-40ミリ