秋のツーリング
福井・田烏
世間は三連休だったけれど、僕は最終日を除いてすべて仕事漬けだった。
仕事が深夜まで長引いて、帰宅後はリビングのソファーの上で死んだように眠った。
休日は寝て終わるんだろうなと思っていたのに、3時間ほどで目が覚める。
リビングに差し込む暖かい日差しに誘われて無性に走りたくなった。
寝起きの嫁さんと子供たちの顔色をうかがいつつ、奴らの思考回路が正常に働き出さないうちに、差し抜き足忍び足で自宅からフェードアウト。
考えてみれば8月末に瀬戸内海を旅して以降、オートバイに乗っていなかった。
福井・小浜
最初は湖西道路経由で琵琶湖北岸まで走って折り返す程度の半日コースを考えてたけれど、琵琶湖なんてケチ臭い事を考えず、豪勢に海辺を流すことにした。
福井・小浜
京都のオートバイ海苔の定番コース、周山街道こと国道162号線から若狭湾。
若狭湾にはレインボーラインやエンゼルラインなどオートバイ海苔にはたまらないワィンディングロードがあるのだけど、僕はそれにはあまり興味がなくて、点在する鄙びた漁港を訪ね歩く事が昔から好きだった。
湾に沿って肩を寄せ合うように立ち並ぶ漁村の家屋は皆、長年の風雨に耐えてきた事を物語る佇まい、時が止まったかのような路地裏、錆びたガードレール、少し生臭い磯の香り、停泊している景気のいい屋号の漁船、釣り糸を垂れる太公望達。
京都・広河原能美町
海を満喫したら次は山。
周山街道を引き返すだけでは味気ないので、横道にそれて府道38号線から佐々里峠を越える。
落ち葉の多い峠道の木々は既に赤く色づき始めているものもあって、秋の深まりを感じずにはいられなかった。
京都・広河原能美町
途中にある茅葺の里美山に立ちよるのもいいけれど、38号線沿いにある農村風景もまた、ノスタルジック。
能美町あたりなんかは日本の原風景はここにあると言った感じで最高に良い。
38号線から鯖街道に入ったあたりで日が暮れる。
峠の途中から寒いとは思っていたけれど、道路の気温計は13℃。
今年もまた自販機のホットコーヒーが恋しくなる季節がやってきた。
福井・田烏
RICOH GXR/フォクトレンダーUWH/ノクトンクラシック35ミリ
2016.10