旅とカメラとオートバイと

旅の悦楽

僕にとって旅とは悦楽だ。通信機器、移動手段が著しく発達した現代において、もう旅なんて呼び方は大げさなのかもしれない。それでも金泉寺や仁摩で出会ったおじさん達、長岳寺で僕の足元から離れようとしなかった野良猫、桜島フェリーの上で、少女と交わした視線。彼らと共有した時間は僕だけのものだ。もしかしたら誰が一度物語を完結させたのかもしれないその場所で、再び僕らが繰り広げるそれそのものが、僕にとっての「旅の悦楽」なのであります。

雪山登山

Posted by yasu1995 on   0 comments   0 trackback

#3782

#3783

#3784

#3785

#3786

#3787

 一月末。

 親父と雪山に登ってきた。たまに帰省してはこんな事をしているので、傍から見えばまぁ仲の良い親子に思われているかもしれないが、僕は親父の事が大嫌いだった。
 不機嫌な表情で仕事から帰ると、当然のように酒を飲んでは家族に当り散らし、機嫌の良い日なんか一年の間に1.2回あったかなかったか。休日もどこにも出かけず、まぁ相変わらず不機嫌そうな顔で家の雑用はしていたか。
 オカンとは毎日ケンカで、オカン、何度家出しただろう。離婚しなかった事が不思議なくらい。そういう僕も木刀を持って親父に襲いかかった事がある。木刀は修学旅行のお土産で、振り上げた時に「まぁこんなことに使う事になるとは。」と、意外に冷静だった自分を覚えている。幸か不幸か結局木刀は親父に当たらず、コタツ布団をはたくに終わったのだけど。あの時はさすがの親父も少しびっくりした様で、僕から木刀を取り上げると、そのまま外に持ち出してのこぎりで切ってしまった。

僕は「将来結婚して子供ができても絶対こんな親父にはならないぞ。」と固く心に誓ったものだった。

そんな親父も10年前に定年となって、そこからは仏のように丸くなった。何かの呪縛から解き放たれたかの様に毎日出かけては写真三昧、登山三昧。あれほど毎日ケンカしていたオカンとは度々旅行に出掛けている。僕が子供を連れて帰ると、それはもうビックリするような猫なで声で孫を可愛がるし、僕らが実家に滞在中は終始ご機嫌だ。たまに親父の前で僕が子供を叱ると「まぁそんな怒ったるなや。」となだめる。いやいや、アンタなんかもっと酷かったから!と心の中で何度もツッコミを入れてしまう。

「○○、雪山登るならアイゼンがいるぞ。」「○○の山が良いぞ、樹氷が綺麗や。」「山登りならチョコレートとかがいいぞ、すぐエネルギーに変わるから。」などと色々アドバイスをくれて、結局自分も一緒についてくるという、なんだか可愛い親父になってしまったれど、これはこれでなんだか馴染めない。

 雪山ではガイドのように僕の前を歩きながら登山のイロハを解説し、自分なんか70歳を超えているくせに、僕の体力を気にしながらペース配分を考えている。そんな親父を見ていると時々「あの時もし、木刀が親父の頭に当たっていたら今頃どうなってたんだろう。それでも親父は親父だっただろうか。」という妙な疑問が浮かんでくる。

下山に、親父のおごりで親父のおすすめラーメンを食べた。

雪山はとても寒かったので、とても暖かかった。



SONY RX100M4
OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mmF2.8 PRO

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://yasu1995.blog.fc2.com/tb.php/779-0d0da64d