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旅とカメラとオートバイと

旅の悦楽

僕にとって旅とは悦楽だ。通信機器、移動手段が著しく発達した現代において、もう旅なんて呼び方は大げさなのかもしれない。それでも金泉寺や仁摩で出会ったおじさん達、長岳寺で僕の足元から離れようとしなかった野良猫、桜島フェリーの上で、少女と交わした視線。彼らと共有した時間は僕だけのものだ。もしかしたら誰が一度物語を完結させたのかもしれないその場所で、再び僕らが繰り広げるそれそのものが、僕にとっての「旅の悦楽」なのであります。

多賀の住友鉱山跡に行っていました。その3

Posted by yasu1995 on   0 comments   0 trackback

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構内に入るとまず目を惹くのがゴツゴツした山肌です。
砕石によるものですが、荒涼とした風景が広がっています。まるで子供の頃によく見た戦隊物の爆発シーンに使われそうな景色ですよね。

広い構内を、僕はスティーブ・マックイーンの大脱走をイメージしながら、縦横無尽にカブを走らせました。
勿論カブはトライアンフのつもりですよ(笑)

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その後はカブをおいて周囲を散策。
構内にはサイロやベルトコンベア、破砕に使用したであろう大きなミルなど、いくつかの遺構が残っています。
洞穴のような真っ暗な貯鉱スペースは少し気味が悪かったです。

一通り見学した後、そろそろ下山しようと思いカブに跨り、アクセルを開けますが、一向にカブは前に進みません。
最初は後輪がスタックしているのかと思い、両足を踏ん張りながらアクセルを更にあけ、後輪をくぼみから押し出すよう試みます。
ですが、やはりカブは前に進みません。

おかしいなとカブを降りて、自力で前に押し出しますが、やはりカブは前に進まず、なんだか妙な抵抗すら感じるのです。
よく観察してみると、なんと前輪のフェンダーとタイヤの間に木の枝が挟まっているではありませんか!
こいつがタイヤの回転を邪魔しているようです。

手で木の枝を押し出そうとしましたが、木の枝はぴったりと挟まっていて取れません。その辺の木の枝や石で叩いてみましたがびくともせず。生憎車載工具は無く、どうにもなりません。
やけくそにカブを押しても引いてもやはり動きません。

この時点で冷や汗が流れます。こんな山奥の廃鉱山に誰もやってくる筈もなく、助けを求める事は出来ません。
カブを置いて一旦下山しても、車が進入できる場所ではないですからレッカーは不可能です。

どうしようどうしよう・・・。林道を走るのに何の装備もしてこなかった自分の準備不足を後悔しました。

半ば泣きべそをかきながら、先ほどの林道を徒歩で下り始めたのですが、こんなところにカブを置いていくのが嫌だったので駆け足で戻ります。

「取れないならあの木自体を砕けばいいんだ。」そう考えて先ほどの作業小屋後に入り、何か使えるものはないか探します。
見つけたのは小屋の骨組みであっただろう錆びついた鉄の杭と、小さな釘。

とりあえず杭で木の枝を突きまくって砕ければよし。ダメなら前輪を釘でパンクさせて枝を抜き取る。
後はカブを押して下山するのみ。

憎き木の枝に錆びた鉄の杭を打ち込みます。錆びた杭は少し曲がりますが、木の枝に亀裂が入りました。
そこからはもう、必死になってひたすら杭を木の枝に打ち込みました。
木の枝は少しずつ削れましたが、なかなか砕けず手で抜き取ることもできませんでした。

1時間くらい同じ作業を繰り返した頃、木の枝が削れて隙間ができた為、タイヤが少し動き始めました。
そこからはダメもとでエンジンをかけ、一速でタイヤを少し回してみました。
すると、ゆっくりながらタイヤは回り始めました。

「勝機!」とばかりに僕はカブに跨り、アクセルスロットルを勢いよくひねりました。
回り始めたタイヤの勢いに憎き木の枝は凄まじい勢いで押し出され、「パカーン!」と大きな音を立てて、飛び散りました。

#3994

「諦めなくてよかった・・・。」
安心すると、急に力が抜けてしまい、しばらくその場にへたり込んでしまいました。
カブも「こんな山奥に一人残されなくて良かった。」と安心していたでしょう。(笑)


SONY RX100M4
OLYMPUS OM-D EM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

2017.5

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